問 繰り返し地震による建物経年劣化を分析することはできますか?

 現段階では、繰り返し地震による建物の経年劣化を分析する手法は確立されていません。
しかし、『サイセブ』の入力地震波データを蓄積することで、将来的には建物の経年劣化を分析することができるようになると考えられます。『サイセブ』では、以下の成果が得られます。
  ①東西・南北・上下方向の加速度時系列データが取得できます。
  ②その時系列データを使用して震度(計測震度)を求めることができます。
  ③また時系列データを分析し、周波数帯データを求めることができます。
  ④この周波数帯データに卓越周期が発生する場合、何秒に卓越周期があるのかがわかります。
これらの成果を蓄積することで、将来的に建物経年劣化の分析につながります。以下にイメージをしめします。

答① 蓄積した『サイセブ』の入力地震波のデータを活用することでのみ、将来的に建物経年劣化の分析につなげることができます。

 現段階で、構造設計者が①の時系列データを入力条件とした建物全体の動的解析をおこなうことにより、建物の挙動を求めることは可能です。地震発生毎にこの建物の挙動を把握できれば、建物の経年劣化を求めることも可能となります。しかし、費用と手間が甚大なため現実的ではありません。動的解析の事例に興味のある方は、防災科学研究所の山下氏による動画が公開されていますので、以下のアドレスを参照ください。

     https://youtu.be/2FQh4sSYcIg

この動画では、阪神淡路大震災の地震波データを活用して動的解析を実施しています。しかし、所有建物の地盤・杭・基礎・建物総重量の加味されない公の地震データ(ここでは、阪神淡路大震災)に比べて、『サイセブ』の地震波データを使用すれば、所有建物の揺れをより最適に再現する動的解析であることは自明です。

将来的には、静的解析で建物の経年劣化を分析できるようになれば、一般的に普及する技術となります。そこで『サイセブ』の成果③、④を活用することで、建物の固有周期との関係から統計的に経年劣化を求める技術の開発が期待されます。

答② 蓄積した『サイセブ』の入力地震波のデータの中から、卓越周期が発生する場合、建物の固有周期と組み合わせた検討を優先することで、早期に建物の経年劣化を評価できるようになります。