四面からの放射温度の簡易測定を可能とする装置
スマートフォス【SMARTFOSU】
熱放射熱を抑制するために、天井面や壁面に放射率の低い材料を取り付けることで、夏期の空調設定温度を28℃以上に設定できます。その結果、省エネ・電力削減を目指すことが可能となります。この省エネを実現するためには、各壁面からの放射温度を測定する必要があります。
そこで、簡易測定装置の特許(特許 7430965 号)を取得し、四面からの放射温度の簡易測定を可能とする装置スマートフォス【SMARTFOSU】: Simple Measurement of Radiation Temperature from Four Surfaces を開発しました(商標登録中)。
スマートフォスのシステム構成は四面からの放射温度を簡易測定するセンサ部とデータを収集するロガー部で構成されます。外観を写真1に、センサ部を拡大したものを写真2にしめします。
写真1 スマートフォス外観 写真2 スマートフォスセンサ部

次に、本システムの性能を評価するための実験状況をしめします。平屋の事務所空間(一般的な断熱仕様)を対象に実験を実施しました。写真3は天井面、東壁面、南壁・窓面、北壁・窓面を装置設置位置から魚眼レンズで撮影したものをしめします。天井面は事務所で使用されるジプトーンを天井材とし、壁面はビニールシート、窓面はすりガラス、床・壁材は合板であり、各部材の放射率εは0.9以上となります。
写真3 スマートフォスの測定状況


天井面 7割近くが天井面で垂直成分が多いことから、ほぼ天井面からの放射熱を測定
東壁面 隣室もあることから、放射熱は室温と同程度
南壁・窓面 窓面割合も小さく、距離も遠いことから、窓面からの放射熱は小さい
北壁・窓面 窓面割合も大きく、距離も近いことから、窓面からの放射熱は大きいが、エアコン吹出しからの冷気温度の影響を受ける可能性あり
この実験環境を使用した測定結果(2023年9/12 13:30~14:30)を図1にしめします。
上段にスマートフォスで測定した放射温度のグラフを、下段に空気温度相当(東壁面)の値を差し引いた放射‐空気温度差のグラフをしめします。外気温度は32℃で、エアコン設定温度を28℃とした結果、室温は平均25.7℃となります。

図1 スマートフォス測定結果
放射温度は北壁・窓面が最も高く、平均26.5℃となり、放射‐空気温度差は平均0.8℃となりました。各面の放射‐空気温度差は天井面で平均0.5℃、南壁・窓面で平均0.4℃となりました。
このように一般的な断熱仕様の事務所空間では、外気温度の高い時期は、室内の放射温度が高くなる傾向となります。そこで、スマートフォスを活用することで、放射温度の高いエリアを特定し、放射を遮蔽する部材によるリニューアルや最適な空調運転を実施すれば、従来にない省エネが実現可能となります。