耐震補強工事は建物の揺れを抑えますか?
背景
現在、実際の地震を例として、耐震補強工事による建物の揺れを抑えた という数値的な実証例はほとんどありません。
そこで、2022年3/16の福島沖地震の結果に対し、耐震補強済の建物4Fに『サイセブ』を設置した結果と周辺に設置されている公の地震計データを建物4Fでの増幅を想定した結果を比較します。
公の地震計のトリパタイトグラフ
対象となる建物は地上8F建てのSRC造で、一般的に建物固有周期は0.3秒から0.8秒の範囲にあります。福島沖地震では、公の地震計は0.3秒付近に卓越周期があります。
公の地震計に対し、建物4Fでの増幅を想定
公の地震計は地表面に設置されているので、建物4Fでの揺れを想定するために、水平加速度の床応答倍率を2倍とし、疑似応答速度を求めます。その結果、0.3秒付近の卓越周期での疑似応答速度が10.5cm/sから20.9cm/sとなりました。
これは、建物の固有周期を加味していない結果であり、実際には更に0.3秒から0.8秒の範囲で増幅していることが想定されます。
『サイセブ』のトリパタイトグラフ
次に、耐震補強済の建物4Fに設置した『サイセブ』の結果を確認します。特徴として、0.22秒から0.52秒で疑似応答速度が大幅に減衰していることがわかります。疑似応答速度の最大値は0.64秒で15.9㎝/sです。この結果は耐震補強工事により、建物固有周期付近の揺れを抑制している可能性をしめします。



答① 耐震補強工事の結果、SRC造の建物固有周期付近の揺れを抑制する効果が確認されました。
答② SRC造以外の建物に耐震補強工事を実施した場合、 仮に、地表面で卓越周期が発生しても、0.22秒から0.52秒付近での建物固有周期との共振を抑制するすることが期待されることから、結果的に建物損傷を軽減する可能性が高いと想定されます。